|
電気学会・東京都立産業技術研究センター連携セミナー
テーマ「安全で省エネな社会の構築と中小企業支援」
日時 2023年12月6日(水)13時30分~18時50分
場所 東京都立産業技術研究センター東京イノベーションハブ
主催 (一社)電気学会
共催 (地独)東京都立産業技術研究センター
協賛 電気学会東京支部
後援 IEEJプロフェッショナル会
挨拶:東京都立産業技術研究センター(小林丈士 物理応用技術部部長)
講演1:ゼロエミッションに資する産業支援事業の紹介
-安全性・信頼性の向上と技術力の強化に向けて-
中川善継(東京都立産業技術研究センター)
講演2:鉄道の電力供給技術の最近の動向(電車線を中心に)
池田 充(ジェイアール総研電気システム)
講演3:再エネ大量導入と電力安定供給の両立は如何に?
岩本伸一(IEEJプロフェッショナル)
講演4:電気自動車の動向
長瀬 博(IEEJプロフェッショナル)
意見交換会
講演1:ゼロエミッションに資する産業支援事業の紹介 東京都立産業技術研究センター 中川 善継 1.モノづくり産業の集積地多摩と多摩テクノプラザ 東京都郊外に位置する多摩地域は電子機械、計測器、制御装置等の中堅・中小企業のシステム開発拠点が多く点在し、都心部に比べ自動車交通が分散しやすいことから物流の拠点ともなっている。「東京の産業と雇用就業2022」によれば、中小製造業が進出したい新事業分野として環境・エネルギーが39.8%と最も高く、これから事業創出が大いに期待される。多摩テクノプラザは地理的にその中心に位置し、これらの開発を支援する拠点として電子技術、複合素材技術の面から中小企業の製品化、事業化に資する技術支援を行っている。
2.ゼロエミッションに資するモビリティ産業支援事業の取り組み 多摩テクノプラザでは、電子機器から発する電磁ノイズの干渉を評価するEMC試験や、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)をはじめとした軽量部材の研究に取り組んできた。これらのノウハウを生かし、車載機器・小型モビリティに特化した技術支援として、2022年度に「ゼロエミッションに資するモビリティ産業支援事業」を立ち上げた。 車載機器のEMC試験では、車体の中に製品が置かれた状態を想定し、CISPR・ISO等の国際規格に準拠した試験項目を準備した(図1参照)。また、CFRPなどの軽量化部材をモビリティ構成部品に用いるための機械強度の試験、部材の加工と評価のほか、オゾン劣化試験・塩水噴霧試験による寒冷地や海岸沿いなど自動車を走行する環境を再現した各種試験が可能である。これから車載機器や小型モビリティ分野への参入を検討している企業に対し、自動車業界の構造転換に対する技術・経営・人材養成セミナの開催や車載機器技術研究会を設置、活動を通して技術支援事業の役割を充実させる予定である。
図1. 新規導入した車載試験設備の紹介
3. ZEV(ゼロエミッション・ビークル)移行に向けた技術支援 気候変動は地球規模の脅威であり、その対策としてCO2をはじめとする温室効果ガスの抑制が求められている。東京都では、2007年に策定した「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の基本方針の一つとして、自動車交通でのCO2削減を加速してきた。また、2050年にCO2排出実質ゼロとする「ゼロエミッション東京」を2019年に宣言した。自動車交通におけるCO2削減の要となるのがガソリン車からZEVへの移行と普及であるが、バッテリー等の電力源を搭載する反面、自動車としてのパフォーマンスを保つための軽量化が必要である。今後、ZEVによる自動車の電動化と車体部品の軽量化に両輪で取り組むことで環境負荷の軽減が期待できる。 以上 |
講演2:鉄道の電力供給技術の最近の動向(電車線を中心に) (株)ジェイアール総研電気システム 池田 充 1. 電気鉄道の歴史とその特徴 電動機の発明はこれよりやや遅く1830年頃である。電気を動力源とする電気鉄道の実用化には、さらに50年の歳月を要した。これは、エネルギー源である電力を車両にどのように供給するのか、その実現に対する試行錯誤に要した年月でもあった。 そして1890年頃、「線路に沿って電車線を架設し、これを車両に搭載した集電装置が連続的にすべらせながら動かす摺動(しゅうどう)をして電気回路を構成し、電動機を駆動させる」という現在主流の電気供給システムの基本構成が、実用化された(図1)。この電気供給システムにより、電車や電気機関車である電気車のエネルギー源である蓄電池や発電装置の搭載が不要となり、安価・軽量・簡素で信頼性の高い車両による運転が実現した。
2. カーボンニュートラルにおける電気鉄道の役割 日本国内のCO2排出量のうち約2割が運輸部門からの排出であるが、その約85%は自動車によるものであり、鉄道起源のCO2排出量は6%程度である(図2)。しかも、鉄道起源のCO2排出量の約95%は電気鉄道のための発電によるもので、ディーゼルエンジンなどの気動車等に代表される鉄道事業者によるCO2直接排出量は日本全体のCO2排出量の0.05%にも満たない。 すなわち、今後、国内で再生可能エネルギー起源の電力の割合が増加すれば、鉄道起源のCO2排出量はこれにほぼ反比例して減少することとなる。
このように、電気鉄道はカーボンニュートラルを推進するテコとなり得るものである。特に欧州では、カーボンニュートラル推進策のひとつとして、「鉄道を中心とする包括的交通インフラを整備する欧州横断輸送ネットワークTEN-T(Trans-European Transport Network))と「鉄道サービスの単一市場化である第4次鉄道パッケージ」による鉄道の競争力強化施策が進められている。 一方、自動車については世界中で電動化が推進されており、乗用車に関してはすでにBEVが実用化されている。しかしながら、トラックやバスなどの大型車両は、走行に必要なエネルギー量自体が大きいことから、単純なBEVでは蓄電池重量が大きくなりすぎて、種々の問題が生じている。その解決法として、走行中給電による蓄電池搭載量削減が期待されている。例えば、電気鉄道で培った技術を活かし、高速道路に架空電車線(架線)を架設しトラックが搭載したパンタグラフにより集電する「独国シーメンス社の大型トラック架線システム(eHighway)実証プロジェクト」がある。 逆に鉄道の非電化路線では、JR東日本のACCUMなどの蓄電池駆動電車の導入も進められている。 このように、同じ電気を動力源とする輸送システムである電気鉄道と電気自動車とは、今後技術的な類似点が増えていく可能性がある。例えば、再生可能エネルギー電力の不安定性を補うためにBEVの蓄電能力を電力インフラとして活用するV2G(Vehicle-to-Grid)が提案されている。さらに、大型需要家である電気鉄道においても、再生可能エネルギー電力の発電状況にあわせた電力マネジメントが実現できれば、再生可能エネルギー電力の導入拡大に貢献できる。 また、列車が電力回生ブレーキにより発電した電力を他の列車が有効利用できない場合に、変電所等へ大型蓄電池による電力貯蔵装置を設置する事例が近年増えている。このように再生可能エネルギーの有効利用するための研究が進 められている(図3)。
コロナ禍によって一層顕在化した鉄道経営の根本的な問題、すなわち、鉄道事業は巨大なインフラ産業であり、その維持管理に見合った収入と人的リソースが確保できないと事業として成り立たないという問題である。これは、加速する人口減少が進む中で、他の産業も含め深刻な共通問題である。特に、沿線にわたり長大な電車線路や多数の電力供給設備を配する電気鉄道では、電力設備のITC技術によるスマート化とメンテナンスの省力化・省人化・低コスト化が喫緊の課題である。 そこで、画像処理やAIなどを活用した電車線設備の検測技術、さらにはこれと各種シミュレーションを組み合わせた電車線設備のデジタルツインを構築し、予防保全や積極保全であるプロアクティブ保全を実現して、設備メンテナンスの低コスト化をはかることが期待されている(図4)。
さらに、リスク分析、ライフサイクルコスト(LCC)分析に基づいた保全計画によりリスクとライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメントの実現も不可欠である。そのためには、計測技術、シミュレーション技術を高度化するとともに、設備の腐食、電食、摩耗、疲労などの長期劣化に関する知見を深め、劣化現象を定量化することが重要であり、継続的な研究開発が進められている。 4. まとめ 従って電気鉄道においても、将来にわたって社会の基盤インフラとしての役割を担い続けていくためには「エネルギーマネジメント」と「アセットマネジメント」を両輪とした設備マネジメントが重要になる(図5)。
さらに、年々顕在化する気候温暖化の進行を少しでも早い時期に止めるためには、CO2削減のためにできることを少しでも早く実行フェーズに移すことである。 省エネルギー技術に関して、日本の電気鉄道は海外諸国に対してまだアドバンテージがあると考えられる。一方、欧州では鉄道のカーボンニュートラルに向けた各種取り組みや施策が、非常に速いピッチで進められている。 日本の電気鉄道が引き続き世界に伍していくためには、柔軟かつ大胆な施策や技術導入をためらいなく実行するマインドが重要である。 以上
|
講演3:再生可能エネルギー大量導入と電力安定供給の両立は如何に? IEEJプロフェッショナル 岩本伸一 日本は、2050年までに温暖化ガス排出量を、実質ゼロすなわちカーボンニュートラルにという政府目標を掲げた。その中で、2030年度の再生可能エネルギーの目標率は35-38%、原子力は20-22%、合計ノンカーボン電源を59%に、そして2050年までに、再生可能エネルギー50-60%、原子力/CCUS火力30-40%、水素アンモニア発電10%を目標とした。CCUS(Carbon Capture, Usage and Storage)は、排出される高濃度のCO₂を固定化する技術である。 これに対して多くのネガティブな意見が出た。「電気料金が2倍になってしまうのではないか?実現が見通せない」、「2020年の発送電分離で、今までの電力会社の電力供給責任はなくなったので電力供給は大丈夫か」、「原子力発電の再稼働・増設をすべき」など。 電力系統には、需給バランスをとって周波数を一定にしなければならない物理的制約がある。その周波数偏差目標は、本州では0.2Hzで、北海道と沖縄では0.3Hzである。この周波数維持のために、再生可能エネルギー導入量が抑制されている。周波数が下がりすぎると、保護リレー装置UFRが働き、ブレーカーである遮断器が作動して、強制的に停電が発生する。再生可能エネルギー大量導入のため、政府は、再生可能エネルギーの優先給電を決めた。すなわち、出力抑制の順位は、まず、火力発電と揚水発電、次に再生可能エネルギー、最後に原子力発電とした。 再生可能エネルギーを増やすには、エリア間(電力会社間)の連系線の増強が有効である。そのため、現在、北海道-東北間、東北-東京間、東京-中部間で連系線が増強されている。また、日本版コネクトマネージとして、ノンファーム型接続が始まっている。ノンファーム型接続とは、あらかじめ系統の容量を確保せず、系統の容量に空きがある時にそれを活用し、再生可能エネルギーをつなぐ方法である。再生可能エネルギーに関する政策として、地域間連系線の増強、定置用蓄電池の導入加速、容量市場の導入、長期脱炭素電源オークションの開始、予備電源の設置などが考えられている。また、デマンドレスポンスの拡大もはかられている。太陽光発電や洋上風力発電のエネルギーミックスの目標が設定され、推進されている。再生可能エネルギーに関するFIT制度の買取価格を改善するためFIP制度が始まっている。 原子力政策の進め方も提案されている。燃料費だけ見た場合、1kWh当たりのコストは、原子力1.5円、石炭5.1円、LNG10.0円であり、原子力の経済的な優位性がある。実際、CO2を削減するには、原子力を負荷追従運転すれば、電源運用の自由度に効果があると考えられる。海外では、原子力増設や、小型原子炉SMRの開発が加速している。 「再生可能エネルギー100%で運用することは可能か」とよく訊かれるが、周波数維持と言う本質的な問題があり無理である。それは、同期発電機の回転する慣性で周波数が一定に保たれているからである。 結論として、再生可能エネルギー大量導入は、経産省の方針通りに行けば、2030年の目標達成は困難ではない。太陽電池や風力発電が国産でないので、これが日本人のため、または日本国のためになるのかは不明である。電力供給的には、これまでの容量市場に加えて、長期脱炭素電源や予備電源を加えていけば大丈夫であろう。ただ、それだけだと、「休止電源の準備で電力自由化前と総電源量は変わらなくなる」のではと思う。 以上 |
講演4:電気自動車の動向 IEEJプロフェッショナル 長瀬 博 カーボンニュートラルの実現に向けて、電気自動車(EV:Electric Vehicle)が着目されている。EVに関する最近の動向を紹介した。 1.電動化の推進 自動車が置かれている状況にCASE(Connected、Autonomous、Sharing service、Electric)の進展がある。電動化はこの中の一つとして考えるべきである。世界の電動化の状況は、欧米での2030年代のエンジン車の新車販売禁止がある。最近のトピックスとして、英国がエンジン車の禁止を5年延期させたり、欧州で再エネ由来の水素で作る合成燃料e-fuelを認める動きがある。日本の電動化はグリーン成長戦略の中で取りあげられ、その目標が設定されている。こうした取り組みから、2035年には世界の新車の約半数が電動化されると予測されている。 電動化により、従来にない新しいプレイヤーが登場している。EVでは、テスラ(米)、BYD(中)がその一例であり、シェアも高い。2022年は全世界で、EV724万台、HEV(Hybrid EV)353万台、PHEV(Plug-in HEV)273万台、MHEV(Mild HEV)207万台が販売された。 2.電気自動車を取り巻く環境 環境の点から、走行中のCO2排出に加え、その燃料(ガソリンや電力)製造時の排出も加味したWell to Wheelの評価が必要である。ガソリン車に比べHEVのCO2排出量は半減する。EVのCO2排出は、充電する電源がCO2排出の少ない発電構成か否かにより異なる。CO2排出の少ない電源(原子力や水力)の割合の高い仏や北欧では圧倒的に少ないが、多くの欧米諸国では、EVの排出量はHEVの6~7割程度になる。一方、石炭火力の多い電源国では、EVのCO2排出量はHEVより多い。さらに、環境貢献を突き詰めると、LCA(Life Cycle Assessment)の評価が重要で、電池製造時を考慮するとEVは必ずしも有利ではない。xEV(EV、HEV、PHEV等の総称)の進展で、電池等の製造に必要なNd、Li、Coなどの資源ひっ迫がある。 EVの電池は大きく重いため、軽量化して燃費向上を目指してきた自動車の設計思想に反する。また、資源問題に加え、充電時間(ガソリンの給油は数分)や充電ステーションなどのインフラ整備の課題もある。 3.最近の電気自動車技術 モータ駆動は、エンジン駆動に比べ、圧倒的に高効率、高精度、高応答という特徴があり、SUV(Sport Utility Vehicle)などスポーティな車に向く。駆動モータは高速になるに従い、磁束を弱め、最大トルクを低減する特性が要求される。EV用モータやインバータの小型化が著しく進展している。乗用車の電池は、多数のセルを組み合わせて床下実装になる。これらのセルの状態を監視する電池管理(Battery Management System)と電池温度を適正に制御するシステムが重要である。 EVの駆動は、モータと減速ギヤを一体化したe-axleを利用する。さらに、e-axleはインバータ、DC/DCコンバータ、充電器などとの統合も進んでいる。モータは高効率で小型な永久磁石同期モータが主流であるが、巻線型同期モータや、誘導モータの利用もある。また、インホイール型の実用化も検討されている。 4.電気自動車への充電 電池への充電はコネクタ接続が主流である。非接触型、電池交換式も検討されている。コネクタ式は100/200V電源で充電する普通充電と400Vあるいはそれ以上の電源を利用する急速充電がある。急速充電のコネクタは地域(米、欧、中、日)により規格や形状が異なるが、どれも大容量化が進展している。 EVにコネクタを接続する手間を軽減するため、非接触型(ワイヤレス充電)が検討され、規格もできている。今後は、ワイヤレスが主流になるという予測もある。また、充電時間を軽減するため、商用車などで電池交換式も試行されている。電動バイクでは交換式が普及している。 5.走行給電の実験検討 コネクタ充電でも、ワイヤレス充電でも、大容量で重い電池を搭載して走行するという本質的な課題がある。走行給電はチョコチョコ充電ができるので、電池容量が下げられる。パンタ式、側面ローラ式、非接触式などが検討されている。このうち、路上に地上給電器を設置する非接触式は、タイヤ近くまたはタイヤ内に車上給電器を装着する。車はある割合で赤信号停止するので、路上設備は主要交差点付近だけの設置で十分で、これにより電池容量は1/10程度にできるという試算がある。また、電池容量を下げたために浮いた電池代で、その設置費用は十分に賄える試算もある。実用化に向け、非接触給電そのものの試験だけでなく、道路工事方法なども実験検討されている。 以上 |
電気学会・東京都立産業技術研究センター連携セミナー
テーマ「安全で省エネな社会の構築と中小企業支援」
日時 2022年12月9日(金)13時30分~17時10分
場所 東京都立産業技術研究センター東京イノベーションハブ
主催 (一社)電気学会
共催 (地独)東京都立産業技術研究センター
協賛 電気学会東京支部
後援 IEEJプロフェッショナル会
講演1:新産業創出に向けた中小企業の5G普及促進支援
(金田泰昌)東京都立産業技術研究センター
講演2:太陽光発電の活用と電力安定供給
(白川晋吾)IEEJプロフェッショナル
講演3:電気鉄道システムにおける国内外接地方式の比較
(兎束哲夫)日本工営株式会社
講演4:パワーエレクトロニクスの広がり
(森本雅之)IEEJプロフェッショナル
新産業創出に向けた中小企業の5G普及促進支援 東京都立産業技術研究センター 金田 泰昌 1. ローカル5G 4Gまでの移動体通信技術は人と人とのコミュニケーションツールとして主に高速化に焦点が当てられてきた。対して5Gは、IoTの基盤ツールとして、「超高速通信」に加え「超高信頼・低遅延通信」、「多数同時接続」の特長を持ち、利用シーンに応じたネットワーク構築が可能なシステムである。 ローカル5Gとは、企業や自治体等、携帯電話事業者以外の様々な主体が構築可能な自営の5Gシステムである。携帯電話事業者が提供する5Gサービスとは別に、自らの土地や建物内でスポット的に、自らのニーズに合わせて柔軟にネットワークを構築することができる特徴を持つ。ローカル5Gの周波数帯は4.6-4.9GHz帯(sub6帯)と28.2-29.1GHz帯(ミリ波帯)の2つであり、28.2-28.3GHz帯について先行して2019年12月に制度整備が行われ、残りの帯域が2020年12月に制度整備されている。 2. 中小企業の5G・IoT・ロボット普及促進事業 東京都立産業技術研究センター(都産技研)では、2015年にロボット産業活性化事業を、2017年にIoT化支援事業を開始し、サービスロボットの社会実装やIoT化をとおした企業のビジネス化支援を行ってきた。これまでに培ったシーズに5Gを掛け合わせ、5Gをはじめとした最先端技術を活用し東京の産業力を強化する目的で、2020年4月より中小企業の5G・IoT・ロボット普及促進事業を開始した。そして、2020年11月、3つの技術分野の支援を総合的に推進するためにDX推進センターを開設した。
3.1. 5G関連設備利用サービス 図1にローカル5Gテストベッドの概要を示す。都産技研では3か所の実証試験エリアに、sub6とミリ波のローカル5G基地局を設置し、ユースケースの実証試験ができる環境を提供している。加えて、端末等の5G用ハードウェア開発支援として、電波暗室やコンパクトアンテナテストレンジ、各種測定器やシミュレーション環境を整備し、性能測定や定量 評価等が行える環境も提供している。 3.2. 公募型共同研究 公募型共同研究は都産技研が中小企業者に対して委託して実施する共同研究である。必要経費を都産技研が委託費として負担することで、ローカル5G等の分野への新規事業参入や競争力向上を支援することを目的としている。2022年12月までに15テーマを実施しており、ローカル5Gとサービスロボットを掛け合わせたテーマや、ローカル5G基地局の開発等を行っている。 3.3. ローカル5G研究会 都産技研ではローカル5G研究会を設立し、ローカル5Gの利活用の促進や技術交流をとおして産業の活性化を図っている。特に、会員向けに都産技研が保有する5G関連設備を体験利用できる制度を用意し、ローカル5Gの利活用の推進を加速させている。
|
太陽光発電の活用と電力安定供給 白川晋吾(IEEJ プロフェショナル)
|
電気鉄道システムにおける国内外接地方式の比較 日本工営株式会社鉄道事業部 兎束哲夫 1.はじめに 本講演では、レールの接地・非接地を中心として、国内外の電気鉄道システムを比較した。 図-1 発電所から電気車までの電気の流れ
2.レール電位とは 3.直流き電方式:電食とレール電位 4.交流き電方式:海外のレール接地 (1) 国内の状況 (2) 海外の状況 (3) 台湾高速鉄道での和洋折衷 (4) 交流と直流の共存 4.まとめ 〔参考文献〕 |
パワーエレクトロニクスの広がり 森本雅之 1. モータの進化
以上 |
電気学会・東京都立産業技術研究センター連携セミナー
テーマ「安全で省エネな社会の構築と中小企業支援」
日時 2019年12月3日(木)13時30分~17時10分
場所 東京都立産業技術研究センター東京イノベーションハブ
主催 (一社)電気学会
共催 (地独)東京都立産業技術研究センター
協賛 電気学会東京支部
後援 IEEJプロフェッショナル会
講演1:広域首都圏輸出製品技術支援センター(MTEP)の事業紹介と支援事例
(浦崎香織里)東京都立産業技術研究センター
講演2:鉄道における通信システムの最近の技術動向
(川崎邦弘)鉄道総合技術研究所
講演3:レジリエントな電力供給システム
(奈良宏一)IEEJプロフェッショナル
講演4:日本の再生可能エネルギー大量導入と最近の出来事
(岩本伸一)IEEJプロフェッショナル