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講演2:電気鉄道信号設備国内外の最近の技術動

電気鉄道信号設備国内外の最近の技術動向
一般社団法人 日本鉄道電気技術協会
宮地 正和
1.信号設備の特徴
 鉄道に求められる最大の要件は「安全」であり、故障や異常が生じた場合は速やかに列車を停止させることである。信号設備はこの条件を満たすためにフェールセーフが要求されている。信号設備のフェールセーフとは、設備が故障した場合は関係信号機を停止(赤)現示または全滅灯とし、転てつ機を固定することである。
 フェールセーフな信号設備として鉄道信号用継電器(以下、信号用リレー)がある。旧日本国有鉄道の鉄道技術研究所(以下、国鉄技術研究所)の信号研究室での信号用リレーの信頼性分析から、危険側故障率が10-10(1/時間)以下であることを解明している。なお、この数値は国際規格IEC62425のSIL4(安全性が非常に高い)より危険側故障率が1桁低くなっている。
 新しい信号設備を導入するに際してはフェールセーフの確認・実証が必要なために、世間一般と比較して最新技術の応用や展開が遅いのが事実である。しかし、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)の出現により、国鉄技術研究所の信号研究室でシステム的フェールセーフ理論が確立(1983年頃)され、信号用リレーに代わる電子連動装置(東海道線 東神奈川駅 1985年3月)でその最初の実現がなされた。その後、ATS-PやデジタルATC、ネットワーク信号システム、無線式ATC等が導入・展開されている。

2.フェールセーフなコンピュータ構成
 汎用のマイコンを利用してフェールセーフ構成とする方法の一つに「バス同期式」と呼ばれるものがある。汎用のCPUやメモリ、入出力素子で構成された同一のマイコン2台をそれぞれ同一のプロクラムで同期動作させる。フェールセーフな比較回路が2つのマイコンのバスライン上のデータをクロックレベルで比較して一致している場合は信号用リレーを動作させるが、不一致の場合は信号用リレーを落下させて外部出力を遮断する構成である。現在は各種の構成方法があるが、ハードウェア2重系でソフトウェア1重系が主流となっている。

3.最近の導入事例
(1) 踏切障害物検知装置
 踏切道全体をレーザービームでスキャンするレーザーレーダー式踏切障害物検知装置が導入されている。レーザースキャン部を線路から離れて設置できるため、保全や故障修復の作業時に列車を止める必要がないのが利点となっている。
(2) ネットワーク信号システム
 従来は多心ケーブルで信号機器室内の装置と現場機器を一対一で接続していた。配線誤りやケーブル管路の新規敷設をなくすために、現場機器にIPアドレスを付与し光ファイバ回線を介して情報を伝送して個々の機器を制御するネットワーク信号システムがJR東日本で実用化され、京葉線等で展開されている。
(3) 無線式ATC
 従来は、軌道回路を介してデジタル情報を地上から車上に伝送して固定閉そくで列車制御を実施していた。地上設備を簡素化するために、JR東日本の仙石線と埼京線でATACSと呼ばれる無線を用いて列車制御情報を伝送し、移動閉そくで列車の間隔制御を実施するシステムが実用化されている。欧州の無線式ATC(ETCS)でレベル3と定義されている移動閉そくのシステムは欧州全域でもまだ実用化されていない。
以上