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講演1:公共施設で活躍する移動型案内ロボットの実現を目指して

公共施設で活躍する移動型案内ロボットの実現を目指して

東京都立産業技術研究センター
武田 有志
 

1.都産技研のサービスロボット向け移動プラットフォーム

東京都立産業技術研究センター(以下、都産技研)では、ロボット産業活性化事業として5年間(20154月~20203月)取り組んでおり、中小企業によるロボットを活用した新しいサービスの事業化を目指している。事業化の早期実現を達成するため、都産技研では案内ロボットとその要素技術に関する移動プラットフォームを提供している。

 プラットフォームを構成するT型ロボットベースは、屋内環境での移動ロボット向け足回りであり、駆動輪2、補助輪2の計4輪から成る点字ブロック等の段差を乗り越えが可能なロッカーボギー構造となっている。一方、重量物運搬ベースType-Lは、屋外環境での移動ロボット向け足回りであり、駆動輪2、補助輪4の計6輪で構成され、段差乗り越え50mm以上、登坂角度10度以上、積載重量300kg、防水防塵IP43対応を実現している。これらのロボットベースは共通して日本の狭い屋内外環境で稼働できるよう、その場回転ができ、また、段差乗り越え時に駆動輪と補助輪が浮かない特徴を有している。

サービスロボットには、人との距離が近い環境で運用される。そのため、移動系のハードウェアやソフトウェアに加えて、安全規格JIS B 8445:2016ISO 13482)に基づいた設計を行っている。

 

2.案内ロボットLibraの展開と都庁舎での実証実験

 前述の移動プラットフォームを活用し、案内ロボットLibraを試作している。社会実装に向けては、最終的に省人化に繋がるサービス面での改良が必要となるため、まずは、スタッフを常設せずに、使い方のレクチャー無しで使用されることを目標に、都庁舎南展望室で実証実験を2018226日~32日に実施した。ロボットは外部の大型ディスプレイと連携し、東京の観光スポットの固有名詞やジャンルを問合せることで、800件の中から適切と思われる場所を提示する。実証実験に向けては、23の案内に関する機能を強化している。

実証実験後にログ解析を行った結果、1480分のうち、使用時間は150分(稼働率31%)に到達した。場所柄、観光客が多く、珍しい物に触れてみたいという人が多かったことにもよるが、使い方を示すことなく、ほぼ全員が観光スポットの提示まで到達できた。対話に必要な機能として実証実験から得られたことは、(A) こんにちは等の日常の挨拶に応答する、(B) ヒントを小出しにし、何を問い合わせたら良いかを具体的な音声で誘導する、(C) 待機中の動きを加えた音声による呼掛けにより存在をアピールする、の3点が必須であることが分かった。

 今後もサービスロボットの社会実装に向けて、使えるロボットとして開発を進め、技術支援を行っていく予定である。

以上