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講演2:産業用電力系統における系統解析技術の動向

「産業用電力系統における系統解析技術の動向」
富士電機株式会社
  壹岐浩幸

 産業用電力系統とは、電力会社の送配電網の末端に接続された大口需要家(主に製油所、石油化学、鉄鋼、パルプなど)の電力系統をいう。対象は、自家用発電設備を複数台有しており電力系統は複雑で、これらの発電設備は電力会社の発電設備とは異なり、工場の生産設備の蒸気を供給調整しながら発電するため、システム制御が難しい。また、大口需要家内負荷は主に誘導電動機である。このために、送電網での瞬時電圧低下、短期停電などが発生すると、自家用発電設備を持つ大口需要家では系統解列を行い、自立運転状態で大口需要家内の電圧安定性が問題重視さている。この課題の取り組みの一環として、産業用電力系統における系統解析技術について解説した。

 [目次]
  1.産業用電力系統の概要並びに技術的課題
  2.産業用電力系統の系統解析を行うには
  3.産業用電力系統の系統解析事例

[内容]
   (1)産業電力系統は電力系統と大口需要家(自家用発電設備を持つ系統)が送電網で連系されている。大口需要家内は、特高受変電設備を持ち、自家用発電、負荷(主に誘導電動機)など、多種多様な電気設備から構成されている。さらに、大口需要家においての自家用発電設備のための蒸気を調整するための用役システムも含まれている。

  (2)技術的課題は、大口需要家から見た電力系統の供給信頼度と電力品質であり、主に、瞬低と高調波、電磁障害による機器動作への影響である。

(3)産業用電力系統解析は、複雑なシステム構成により様々な解析を求められるため、このことから国内外の汎用系統解析ツールを用いる場合が多い。また、実効値計算並びに瞬時値計算は解析目的ごとに使い分けが必要である。

ここでは、停電や短期停電に伴う母線電圧低下に伴う系統解列による自立運転時の電圧安定度解析について紹介した。解析ソフトはMATLAB/SIMULINKを用いて、なるべく詳細なモデルを構築して示した。
 
最後に、産業用電力系統は特高受変電、自家用発電設備、負荷(誘導電動機)などを融合した複雑なシステムであり、電気技術者においての系統解析技術は難易度が高いものとなっている。このことから、産業用電力系統の工学専門書が出版されることが望まれる。