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講演4:日本の再生可能エネルギー大量導入と最近の出来事

日本の再生可能エネルギー大量導入と最近の出来事

IEEJプロフェッショナル 岩本伸一
早稲田大学・理工学術院・ 名誉教授   

1.再生可能エネルギー導入と電力系統の状況
 日本で、2018年度の再生可能エネルギーが総発電量(kWh)に占める割合は約17%である。2030年度の再生可能エネルギーの目標率は22-24%となっている。再生可能エネルギーの設備容量(kW)も急速に伸びている。これは、国の政策であるFIT(固定価格買取制度)が大きな役割を果たしているが、そのための国民負担である賦課金もどんどん上昇しており、現在、電気料金の約11%が再エネ普及のための賦課金となっている。再生可能エネルギー大量導入には、制約があるが、特に重要になるのは、大域的制約である。電力系統は、周波数一定のために需給バランスをとる必要がある。すなわち、需要に等しい発電を時々刻々供給しなければならないと周波数は一定に保てない。それでも、FITにより、各電力会社での再エネ連系は急速に伸びている。

2.九州における再生可能エネルギー大量導入による課題
 九州電力管内では、周波数偏差目標はプラスマイナス0.2Hz である。我が国では、再生可能エネルギーを大量に導入するために、再生可能エネルギーを優遇する優先給電が決められた。すなわち、火力発電は出力下限まで下げ、揚水機も夜でなく昼に負荷として使うようにというものである。九州電力は、再エネの出力制御(抑制)をしないよう、本州への連系線電力潮流を最大にし、火力発電機出力を下限まで下げ、全ての揚水機を、日中(夜間でなく)モーター負荷として運転したが、2018年10月に本土で最初の再生エネルギーの出力制御(抑制)を行った。再生可能エネルギーの増加が主な理由である。

3.北海道における大停電時の再生可能エネルギー問題
 2018年9月6日午前3時7分に、北海道にて震度7の地震が起こった。複数の発電機が連続して停止して停電が起こり、午前3:25に最終的に北海道が全停電となった。すべての再生可能エネルギーが、周波数が限界設定値(49-47Hz)に達した時に解列した。今回、再生可能エネルギーは、事故による停電時には有用でなく、復旧に時間がかかった。特記すべきことは、再生可能エネルギーの接続復帰に蓄電池が大きな役割を果たしたことである。

4.これからの問題
 よく比較されるドイツとの違いは何であろうか? ドイツは7か国と国際連系線を持っていて、再エネに 対する周波数維持が容易である。日本は、国際連系線がないため周波数維持が難しい。日本は、島国として、独自の再エネ大量導入策を考える べきで、欧州のまねではうまく行かない。先日、スウェーデンの少女グレタさんが、皆、何をしているの?と訴えたが、これに解決策はあるのだろうか?実は、水力発電、再エネ発電、そして、原子力発電の負荷追随運転を可能にすれば、理論的には可能であるが、現実的には困難であろう。再エネ100%でやっていくことは可能かと聞かれるが、前述の周波数維持の問題があるので現実的には無理である。 回転する発電機で周波数が保たれている。再エネ大量導入で重要なことは、日本国民にとって、何が一番重要かをいつも考えることである。
以上