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2019年10月定例会講演概要

災害時の防災用自家発電設備の稼働状況と課題
2019-11-21
                                                         IEEJプロフェッショナル
谷口 元
概要
 最近の大規模な災害、長時間の停電時に非常電源は、どのように稼働してどんな問題があるのか。法令で設置が義務付けられている防災用自家発電設備について、現状と今後の課題について説明した。

1.防災用自家発電設備の設置状況
 消防法、建築基準法で設置が義務付けられている防災用発電設備は、ここ25年間で延べ15万台、累計2,200万kW(平均約150kW)と小容量のものが多数設置されている。運転可能時間は、これらの法令による負荷への給電(30分~2時間)が主体で比較的に短い。

2.防災用自家発電設備の特異性 
 (1)出力算定:「停電後40秒以内に全消防用設備等への負荷投入」の必要から、定められた出力算定法を使用。この時に長時間停電に備えて必要な負荷をくみ入れ、運転時間を決めることが重要。
 (2)病院用の非常電源:発電設備と給電系統の耐火・耐熱性、耐震性の現状。
 (3)気体燃料を使用する非常電源・ガス導管の評価:非常電源への高圧・中圧ガス導管の耐震信頼性は高い。
 (4)非常電源関係の規格:欧州、アメリカ、日本の現状

3.災害時の稼働状況(出展:日本内燃力発電設備協会資料より作成)
 北海道胆振東部地震:異常報告145台、異常停止96台中メンテ不良64%、配管など系統異常15%となる。そのほかH30年台風21号、H30年大阪北部地震、東日本大震災などの調査結果、長時間停電での燃料切れが多い。阪神淡路大震災以降はメンテナンス不良が減少したものの配管など系統異常が残る。付属機器の耐震不具合もまだ残る。

4.最近の行政の対応
 ・「防災・減災、国土強靭化のための3ヵ年緊急対策」における分散電源支援(経産省)、空港電源の確保、浸水対策(国交省)、病院非常用自家発支援(厚労省)。
 ・非常時の移動用発電設備による低圧事業者への電力供給について(経産省)
 ・特定自家用電気工作物の設置届出制度(経産省)

5.今後の課題
  防災用自家発電設備50年の災害対策の経緯と現状を振り返って。
 (1)重要施設のBCP(事業継続計画)として早急な長時間停電対策。
 (2)浸水想定区域図、ハザードマップに基づく浸水対策の基準・指針の検討。
 (3)非常電源の計画に法令のみでなく、利用者の災害時の利便性を反映させる。
 (4)家庭でも災害対策、停電対策を。 

6.まとめ
 災害の大型化・長時間停電対策としてBCP対応長時間運転への対応。オフィス・タワーマンションなどの重要電源への浸水対策基準・指針の検討が急務である。
         以上