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講演4:ドイツのエネルギー転換と日本

ドイツのエネルギー転換と日本
IEEJプロフェッショナル会
佐藤信利
 
 ドイツは地球温暖化対策を次世代の先進工業立国の実現を目指した国家戦略の中心に据え、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーによるエネルギーの自立、エネルギー節約的な国民経済を実現することにより、国民の福祉に貢献する社会を実現しようとしている。

1.再生可能エネルギーの導入
 そのために、ドイツは再生可能エネルギーを大量に取り入れ、原子力発電所を2022年までに廃止すると決め、国家政策として推進してきている。その成果として、2015年には温室効果ガスを1990年比で27.2%削減し、再生可能エネルギーの電力供給比率を29.5%まで伸ばしてきている。

2.再生可能エネルギー大量導入後の電力品質
 電力品質でも、変動型エネルギーである太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギーが電力発電量の30%を超えるところまで普及が進んでいるが、各戸当たりの停電時間は2006年21分であったのが、2015年には13分となり、日本の平均時間21分よりも短く、変動型電源を導入に向けて供給信頼度の向上に努めてきた証である。

3.FIT導入後の電気料金
 電気料金は家庭では上昇しているが、卸電力価格は再生可能エネルギーの限界費用効果により低下してきており、電力多消費型企業はその恩恵をうけている。また、電力国際取引でも欧州の中で最大の輸出国となっている。輸出先は、オーストリア、フランス、オランダなどがあり、原子力発電は度重なる安全対策等で安い電力ではなくなってきている。国民は家庭用電気料金の値上りにもかかわらず、この政策に高い支持(60%以上)を与えている。これは、十分な説明が国から国民へなされている証であると考えられる。

4.原子力発電の停止
 原子力発電は、高度な技術を有する日本でも事故が起きたという事実と、国会の「エネルギーに関する倫理委員会」での公開議論の結果、「使用済み核燃料が原子力発電から何の恩恵も受けない次の世代に負の遺産として引き継がれることは、再生可能エネルギーという代替え手段が有る現状では、継続することは倫理に外れる行為である」とし、2022年までに全て停止し、代替として再生可能エネルギー、天然ガス発電、省エネを推進する。

5.日本の状況
 日本では、地球温暖化対策の名目の下に、原子力発電所の再稼働が計画されている。一部再稼働した九州電力では、そのために再生可能エネルギーの出力抑制が実施され、今後の再生可能エネルギーの普及に影をさしている。また、日本は有数の地震大国であり南海トラフの大地震も予想され、また原子力発電は、今後54基の廃炉費用、使用済み核燃料の処理(費用)、福島第1の処理費用20兆円が今後の人口減少世代の負担と考えると、日本の(エネルギーの)持続性は大丈夫か今一度の議論が必要であると考える。   
以上