ヘッダーieejprologo
 

講演3:直流電気鉄道の技術動向

直流電気鉄道の技術動向

公益財団法人鉄道総合技術研究所
電力技術研究部 き電研究室
重枝 秀紀
1.直流電気鉄道の特徴
 鉄道の電化は直流電化から始まった。これは、加減速を繰り返し、低速度域で大きなトルクを必要とする鉄道の特徴に対して、当時の技術では直流モータが適していたことによる。国内初の電気鉄道による営業運転は、1895年に開業した京都電気鉄道である。
交流電化に対する直流電化の一般的な得失として、低圧・大電流のシステムで変電所間隔が短く、地上設備が多数必要となる一方、車両の構成は簡素であり絶縁離隔も小さくて済むことから、地下鉄を含む都市圏輸送に適している点が挙げられる。

2.直流き電回路の設備
 変電所から列車に電力を供給する一連の回路をき電回路という。直流き電用変電所の代表的な設備として、交流を直流に変換する整流器と、故障時の直流大電流を遮断する高速度遮断器がある。直流き電回路は列車負荷電流が大きいことから、一般に列車に対して複数の変電所から並列に電力を供給する並列き電方式を採用している。

3.直流電気鉄道の課題と対策技術
(1) 電圧降下対策
 並列き電方式の他、上下タイき電方式、上下一括き電方式といった回路構成上の工夫がある。
(2) 回生失効対策
 列車の回生ブレーキ使用時に余った回生電力の有効活用策として、上下タイき電方式等で回生電力を他の列車に融通する機会を増やす、電力貯蔵装置で余剰回生電力を一時的に蓄える、回生インバータ等で交流電力に変換して駅負荷に活用するといった手段がある。
(3) 電食対策
 レールから大地に漏えいする電流によって、レールや地中の埋設金属管に電食の影響が生じる場合があり、鉄道側でレール~大地間の絶縁を確保するとともに、埋設管側でも電気防食や排流法等の対策を適用している。
(4) 高抵抗地絡対策
き電回路で地絡故障が発生した際に、故障電流が列車負荷電流より小さいと故障検出が困難になる。局所的な故障検出手法は実用化されているが、全区間をカバーできるシンプルかつ高精度な検出手法が望まれる。

4.最近の研究開発事例
 低炭素社会の実現への更なる貢献を目指し、ICTを活用して列車群と地上設備を連携して制御することで省エネ化を図る「エネルギーネットワーク」の構築と、その要素技術に関する研究開発が行われている。一例として、変電所のき電電圧制御、高電圧き電用電力変換器、省エネのための列車運行アルゴリズム、蓄電装置制御アルゴリズム等の要素技術、それらの導入効果を定量的に評価するための列車運行電力シミュレータがある。