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講演1:中小企業の試作評価時におけるIoT導入事例のご紹介

「中小企業の試作評価時におけるIoT導入事例のご紹介」
~従来の評価システムをより安価に、より簡単に~
地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター
IoT開発セクター 横田 浩之
1.はじめに
IoTの世界では全てのモノがインターネットに繋がり価値を創出すると言われているが、実際にこの世界を体現できているのは、一部の大手、中堅企業やIT系の企業に限定されているのが実状である。中小企業のIoT化を妨げている要因は様々で、例えば導入費用に対する効果が正確に見積もれず導入に踏み切ることができないというのも大きな要因の一つである。一方でIoTの導入に成功している企業に共通しているのが、導入にかかるコストや時間を割り切って自社の身の丈にあった改善活動を継続的に続けられていることが挙げられる。本発表ではその様な事例の一つとして中小企業が自社の課題を自分で考え、それをIoTという手段を用いてどのように解決したか、その過程について報告する。

2.背景
本事例の企業では以前よりバッテリー駆動型の照明器具を開発しており、それら製品の試作評価においては計測器の手動操作によって得られたデータや、ロガーに溜まったデータを後でまとめて集計するといった方法が採られていた。LEDを用いた照明器具は日進月歩で部品性能が向上しており、協力工場との意思疎通が今まで以上にスピードを求められている中、これら一連の検証作業は開発工期を遅らせる一つの要因となっていた。そこで現在安価に入手可能となっているIoTブロックを使用して、都産技研と共同で常時照度をモニタリングできるシステムを構築し、その導入効果について検証を行った。

3.システム概要
IoTシステムではデータの取得、送信、蓄積、解析という流れを経ることが多い。今回はこれらの各要素をMESH、iPad、IFTTT、Googleスプレッドシート(注)という、市販品ならびに既存のサービスを用いて構築した。MESHはセンサー機能とBluetoothによるデータ送信機能を有したIoTブロックで、これにより得られた照度値は一旦iPadに送信される。iPadからはIFTTTという各種Webサービスの仲介を行うサービスを経由させ、Googleスプレッドシートにデータが送信、蓄積される。GoogleスプレッドシートはWeb上に展開された表計算ソフトで、ここに集約されたデータをリアルタイムにグラフ表示し、現在の試作品の状態がPC、スマートフォン等から確認できるようにした。

4.結果・考察 まとめ
本事例の企業では1ヶ月程度で現場レベルでIoTの導入が可能となり、自社の力で運用を改善するところまで繋げることができた。経営判断の観点においても出張先から検証状況の確認ができるため、協力工場への意思決定をこれまで以上にタイムリーに行うことが可能となった。さらにこれまで測定器のセッティングや手動での定期測定に要していた労働コストを低減することができ、結果的に他の業務を効率よく遂行することができた。IoTにおいてはシステムの安定性、機密性、応答性等の性能はコストに応じて高めることができるが、今回の検証においてはそれらを割り切ることで、安価に短時間で自社の課題にあったIoTの形を見いだすことに繋がったと言える。

注:MESHはSONY、iPadはApple Inc.、IFTTTはIFTTT Inc.、GoogleスプレッドシートはGoogle LLCの商標である。