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定例会講演概要

「電気二重層キャパシタ<EDLC>の特性とその上手な使い方」    

2018-9-18 木下 繁則

EDLCとは

電気二重層キャパシタ(EDLC (Electric DoubleLayer Capacitor))1879年にドイツの生理・物理学者Helmholtz氏が発見した電気二重層現象「電解液に導体を浸すとその導体との海面に電解液の分子一個が並んだ電気絶縁層が出来、その外側に拡散層が広がる形の電気絶縁層が造られる」を応用して、電極の表面にこの電気絶縁層を介してイオンを付着させて蓄電する蓄電デバイス(キャパシタ)である。この蓄電デバイスは1970年代は半導体メモリーのバックアップ電源として基板搭載型のコイン(ボタン)型から実用化が始まった。その後、1990年代に入ってパワー用EDLCが故岡村廸夫氏らによって開発が進められた。その後、リチウムイオン電池技術を取り入れたリチウムイオンキャパシタ(LiC)が実用化された。

・特徴

EDLCは電極の表面へのイオンの脱着によって蓄電する物理電池に属する蓄電デバイスであるので、従来の化学電池にはない特徴を持っている。主な特徴を次に示す。

1)充放電サイクルによる劣化は本質的に生じない。2)残存蓄電容量が電圧を図ることによって、直接且つ簡単に知ることができる。3)電圧を0(V)にして保管できるので安全である。4)温度と寿命の関係はアレニウスの法則が適用される。5)時間経過に伴う劣化量は経過時間の平方根に比例する。6)寿命設計や残存余命が簡単に推定できる。

・性能を表すΩF

EDLCの性能を端的に表す用語としてΩF(オームファラッド)がある。このΩFはEDLCの内部抵抗値(単位はΩ(オーム))と静電容量(単位はF(ファラッド))の積で、単位はs()である。このΩF値と充放電時間と効率には一定の関係がある。充放電時間が短かくなるに従い、EDLCのΩF値はより小さくしないと効率が悪くなってしまう。例えば、1分程度の充放電時間で充電又は放電時の効率を95%程度にするにはΩF値は2(s)以下でなければならない。ΩFが20s)のEDLC1分程度で充放電すると効率は50(%)以下になってしまう。

・上手な使い方

EDLCには化学電池にはない上述の特徴があるので、この特徴を活かせる使い方が上手な使い方である。しかし、EDLCは上記した特徴がある一方、リチウムイオン電池に代表される化学電池に比べてエネルギー密度が1/10程度と小さい。このため、EDLCの使い方としては、秒オーダーの短時間で充放電を繰り返えす用途に向いている。パワーエレクトロニクス機器は、過去の実績から今後も13年で大きさが半減する技術進歩が期待される。このことから、EDLCとエネルギー型バッテリーとパワーエレクトロニクスとにより、バッテリーの容量低減、長寿命化が図れる新たな蓄電システムの実現が期待される。

・応用事例

現在、EDLC(含むLiC)の特徴を活かした応用が始まっている。いくつかの事例を紹介する。

1)    コピー機への応用:ドラムの急速加熱用電源(スタート時間の短縮)

2)    自動車への応用:・アイドリングストップのスタータ駆動、エンジン車の制動時のエネルギー回生

3)    AGV(無人搬送車)への応用:搬送車への繰り返し急速充電(ワイヤレス給電)

4)    建機への応用:ショベル機の旋回制動時の運動エネルギー回収(省エネ)

5)    非常用電源:常時は0[V]で保管し、非常時に急速充電する(安全に長期間保管ができる)

・今後の展望

今後は電解液の電圧向上、電極材料、構造の工夫による静電容量向上(イオン吸着面積向上)、使用温度範囲の拡大等により、更なる用途拡大が期待される。