『レアアース その後』(2014.4.22講演)要旨
熊田 稔
以前、2008年11月に、この委員会で、また、2011年12月に、東京都立産業技術研究センターとの連携セミナーで、『レアアース』に関する講演を行った。
今回は、その後について、述べた。
永久磁石は、電気機器の非常に多くに用いられ、必要不可欠ともいえる材料となっている。
永久磁石としても、フエライト、アルニコ、サマリュウムコバルト、ネオジムと、特性の優れた磁石が、順次、開発され、その能力は、当初の10倍以上に向上したといわれている。
その主力磁石となっているネオジム磁石に必要不可欠なのが、レアアースのネオジム元素及びジスプロシウム元素である。
しかし、その両元素の原材料価格が、2011年頃には、2009年頃に比し、20倍を超えるという状況となり、これらの磁石を使用している電気機器のコストに、非常に大きな影響を及ぼしている。
この原料、特にジスプロシウムの主要産地は中国であり、生産量の97パーセントを占めると言はれている。その価格は、中国の輸出政策などに左右されるところが大きい。
一方、現在、特性が、最も優れていると言はれているネオジム磁石が、1980年初頭に発明されて以来、次世代磁石というのは、現れていない。
〇 今まで、15年から20年くらいの周期で、新しい磁石が発明されているが、ネオジムの1980年以降、今のところ目立った動きはないが、今後の可能性は?
〇 ネオジム、ジスプロシウムを使わない磁石の応用技術の進歩は?
〇 ジスプロシウムは、中国の独占状況であるが、今後は?
〇 世界のマーケットの非常に大きなシェアを持つ日本の永久磁石産業は、その品質と製造技術の優位性を保てるか?
〇 リサイクル、リユースの現状、将来は?
などに関し、見解を述べた。