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2017年セミナー講演会講演要旨


集電技術を中心とした国内外高速電気鉄道
の違い

 

 
   三和テッキ株式会社 技術本部
   電気学会IEEJプロフェッショナル    
           島田 健夫三(
しまだ たけふみ
 
1.はじめに
 
気鉄道では、高速化に伴って電気車がパンタグラフを利用して電車線から集電する技術は、難しくなる。パンタグラフの追随特性を良くして離線が生じないようにすること、トロリ線の押上量を小さくすること、電圧を高くして集電電流密度を下げ、離線時のアークを小さくするとともに電圧降下も減らすこと、構造を簡単にして建設コストや保全コストを少なくすること等が望まれている。国内外の高速電気鉄道の違いについて示す。

2.海外の高速新線と新幹線の違い

 海外の高速新線と新幹線には違いがあり、主な違いを以下に箇条書きで示す。

(1)海外の高速新線では、都市内は既存の駅・設備を使用しているが、新幹線は都市内まで乗り入れている。

(2)海外では単線並列が基本であり2530km毎に高速の上下わたり線があり、事故対応や保守に用いられているが、日本の新幹線は複線方式で走行方向が決まっている。

(3)最近の海外の高速鉄道はETCSレべル2(無絶縁軌道回路等地上で列車検知、信号は電波通信で送付、車内信号表示)であるが、日本の新幹線はディジタルATC(無絶縁軌道回路で列車検知、軌道回路で信号伝達、車内信号表示)である。

(4)海外では一般的に1編成810両、輸送増強時は2編成併結(交流区間は1編成1パンタグラフ、2編成時は高圧母線(ブス)なし2パンタグラフ)、新幹線は基本的に16両固定ブス有2パンタグラフ。

(5)海外ではパンタグラフは交流専用、直流専用をセクションで走行しながら上げ替え、

新幹線は交流パンタグラフのみ。

(6)海外は、単相変圧器による受電(V結線変圧器使用やサイクリック受電等)、新幹線は3相→2相変換変圧器を使用。

(7)海外ではニュートラル・セクション(交流異相セクション)は車上のパンタグラフ電流を高速遮断器で遮断して通過するが、新幹線は地上の切替セクションで行う。

(8)海外は、等電位接続(高架橋やトンネルの鉄筋等を接続し、アースも鉄筋やレール等に接続した一体接地(等電位ボンディングという)であるが、新幹線は個別接地である。

(9)車端衝撃荷重日本の新幹線は980kNであるが、海外ではその倍の数値が一般的である。

3.おわりに

 海外の高速鉄道と新幹線にはいろいろと違いがあるが、電車線は他の電気設備に比較して違いが少ないといえる。日本の新幹線で常用されてきたコンパウンド架線も、最近はヨーロッパと同様なシンプル架線化の傾向となっている。最高、最低電圧の違い、ヨーロッパの一体接地と日本の個別接地の違い、高圧母線(ブス)有りで力行通過できる日本独自の切替セクション、およびパンタグラフ押上力を含めたパンタグラフの違い等の違い等もある。日本が海外で高速鉄道事業を行う場合は、新幹線と海外の高速鉄道は異なる点があることを認識することが重要であり、日本の各企業も国際規格(ヨーロッパ規格)でも受注可能なように努力することも合わせて重要である。