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2017年セミナー講演会講演要旨


省エネで安全なエレベーターの
最近の動向


長瀬 博

2017128日講演

 

身近な乗り物として、皆が利用するエレベーターの最近の動向について紹介した。

<高速エレベーターの世界ランキング>

マスコミの話題になり易い最高速度の世界ランキングを比較した。最高速度は技術力を示す指標として、日本の大手メーカーが1000m/分を越える速度でトップ争いを演じている。500m程度の高さの中国や台湾のビルに適用されている。耳ツン対策のため、上昇時のみ高速であり、下降時の速度は半分である。乗り心地向上に、かご内気圧制御、アクティブガイド制御、流線形カプセル構造を導入している。一方、米国大手は最高速度600m/分までである。建物上層部にロビーフロアを設けるスカイロビーを構築し、その階まで専用のダブルデッキエレでシャトル輸送をする。高層ビルでは、エレベーターの占有面積を減らす工夫をしている。

<機械室レスエレベーター>

これまで、屋上機械室を無くすため油圧方式を採用していた。しかし、油圧方式は、効率や乗り心地が悪い。建築基準法の改定により、昇降路内に駆動設備を設ける機械室レス方式が可能になった。機器の小型化が必須であり、PMSM(永久磁石同期モーター)やIGBTインバータがこれを可能にしている。機械室レスエレは、建物への制約が少なくなるので一気に広がり、中小ビル、マンション、さらに、歩道橋、駅舎などでは機械室レスエレが主流になった。巻き上げ装置の設置は、昇降路の壁面上方、下方、カゴ下の配置がある。

<エレベーターの安全装置>

ガバナ、非常止め、バッファにより万一のロープ切れに対応、制御異常で端階で停止をしない場合に備え、端階リミットスイッチがある。これらは、異常時にしか必要としない。日常的な安全は巻上機のブレーキで確保している。新設エレベーターでは、ブレーキの二重化とその動作を監視する独立した監視装置の設置が義務化されている。安全装置の電子化も進んである。

<エレベーターの豆知識>

エベレーターの乗りかごと釣り合い錘は定員半分でバランスさせ、駆動モーターの容量を低減させている。このため、乗車人員と上下降運転の関係から、モーターは正転、逆転、電動、回生の4象限運転モードを全てとる。高速エレベーターでは回生コンバータの利用により電源回生させる。機械室レスが適用される低速エレベーターでは回生エネルギーを抵抗で消費させるが、省エネのため、蓄電装置を導入することもある。

車いす用呼びは、車いす用のエレベーターにしか対応しない。このため、車いす以外の利用者がこれを押すと待ち時間がかえって増える。

ユニバーサル社会に向けて、車いす利用者の乗降がしやすいように乗りかごの工夫をしている。また、乗り場と乗りかごの間の隙間(シル間ギャップ)の縮減が進み、最近は1cm程度になっている。