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2017年定例会講演概要

講演概要

「産業用電力系統への取り組み

 

富士電機株式会社

壹岐浩幸

2017年6月22日講演
 

 産業用電力系統とは、電力会社の送配電網の末端に接続された大口需要家(主に製油所、石油化学、鉄鋼、パルプなど)の電力系統をいう。対象は、自家用発電設備を複数台有しており電力系統は複雑で、これらの発電設備は電力会社の発電設備とは異なり、工場の生産設備の蒸気を供給調整しながら発電するため、システム制御は複雑である。また、大口需要家内負荷は主に誘導電動機である。このために、送電網での瞬時電圧低下、短期停電などが発生すると、自家用発電設備を持つ大口需要家では系統解列を行い、自立運転状態で大口需要家内の電圧安定性が問題重視さている。これらを踏まえて、産業用電力系統における取り組みについて解説した。

 [目次]

  1.産業用電力系統の概要

  2.産業用電力系統の技術的課題

  3.産業用電力系統の系統解析事例

[内容]

 (1)産業電力系統は電力系統と大口需要家(自家用発電設備を持つ系統)が送電網で連系されている。大口需要家内は、特高受変電設備を持ち、自家用発電、負荷(主に誘導電動機)など、多種多様な電気設備から構成されている。さらに、大口需要家においての自家用発電設備のための蒸気を調整するための用役システムも含まれている。

 (2)技術的課題は、大口需要家から見た供給信頼度と電力品質である。

   ・信頼度は、停電と雷害による電力供給への影響である。

・電力品質は、瞬低と高調波、電磁障害による機器動作への影響であり、瞬低並びに短期停電による大口需要家の停電は、多大な被害額が発生する。

   ・大口需要家は、停電や短期停電に伴う母線電圧低下を回避するために幾つか提案が示されているが、巨額の投資となるため実用的でないのが現状である。

 (3)産業用電力系統解析については、目的ごとに解析事例は異なるが、最も多い解析事例は、瞬低並びに短期停電に伴う系統解列による自立運転時の電圧安定度解析である。系統解析の解析ツールは、海外の解析ツールが多く利用されている。

 

 最後に、産業用電力系統は特高受変電、自家用発電設備、負荷(誘導電動機)などを融合した複雑なシステムであり、大口需要家の電気主任技術者はリアルタイムに系統を監視制御しながら日々仕事をしている。将来は、この分野の工学専門書が出版されることが望まれる。