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2017年定例会講演概要


電力の自由化について海外自由化先進国に学ぶこと

IEEJプロッフェショナル 臼田 誠次郎

2017年4月18日講演
 
 日本では2016年4月から電力の全面自由化がスタートした。
 この自由化に伴う一連の改革の中で、将来の電力の安定かつ低廉な供給に課題がないか、自由化先進国から学び、検討を行った。

1.海外自由化先進国の状況

・米国は自由化後にカリフォルニア州で、作為的に需給ひっ迫を作り出し、電気料金を暴騰させ暴利を得たエンロン社の事件が発生。その後自由化を停止する州が続出し、現在では14州が自由化されている。自由化された州とされていない州の料金のレベル差は見られない。

・イギリスは自由化の口火を切った国であるが、自由化後数年は電気料金が下がったもののその後は自由化前のレベルを超えて上昇。また、発電所を建設してもその電気が売れる保証がないため建設が進まず、原子力発電所等の電気を、買い取り保証する等により、電気の不足対策を推進中。

・ドイツでは再生エネルギー(以下再エネ)の買取と自由化及び原子力の廃止が並行して進んでいるが、再エネの賦課金等により一般家庭の電気料金は2000年頃の2倍になっている。再エネは発電量の変動が多くかつ地域的に偏在しているため、周辺国との連系により安定を維持している。再エネの増加に伴い最新鋭の発電所も稼働率が大幅に低下。しかし不安定な電源への補完として廃止は許可されない。

2.これらの先進国の実態を鑑み今後検討すべき事項 

(1) 将来の安定供給の維持

入札制度のもとでは将来の需要の獲得に関して不確実性が高まり電源の建設に慎重になる。その中で必要な電源を確保するための仕組み作り。

電力自由化の下で抑制されがちなメンテナンスを確保する諸方策

再エネが優先されるため,基幹系統の電圧や安定性を維持する重要な役割を負う一方、稼働率が低下する従来型電源及び予備電源の確保策

異常時、特に大規模天災、大規模事故等での対応のため、自動制御システムの活用と最後の切り札たる技術者の育成。

(2) 電気料金の安定化の諸方策

日本の高額の再エネ固定価格買取制度により、電気料金の再エネ賦課金は2兆円となり家庭電気料金の1割に迫り、今後ますます増えて20年間続く。この問題をどのように対処すべきかの検討。

再エネ固定買取制度が終了した場合の再エネの制度問題、及びソーラーパネル廃棄物処理方法・費用の問題等への対応策の事前検討。

(3) 原子力発電の取り扱い

  初期投資が大きいため自由化の中では新設が難しい原子力について、国のセキュリティとしてどのように取扱うかエネルギー全体として議論が必要

 電力システムの運用には、電力・事業・燃料・マネー・規制・制御監視の

 6ネットワークの円滑な機能が必須であり、また設備形成に時間が掛るこ

 と等から経営では短期利益優先の風潮から距離を置くことが重要。 以上