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2016年セミナー講演会講演概要

安全規格に基づいた自律移動型サービスロボットの開発


地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
 ロボット開発セクター 村上真之


■  サービスロボットの販売促進において重要な「安全性の立証」
 自律移動のサービスロボットを公共エリアで使用してもらうには、そのロボットが安全であることを使用先の企業・団体に主張しなければならない。その際、データによって裏付けられた安全性の基準があり、その基準を満たしていることを提示する。そこに第三者評価機関による評価が加わっていると信用が得られる。
サービスロボット分野では、最近まで安全性に関する基準がなかった。NEDOの生活支援ロボット実用化プロジェクト(2009年~2014年)では、産学官が連携し、生活支援ロボットの安全性検証手法を開発し、国際安全規格の策定を先導した。その結果、2014年2月にISO 13482が発行され、2016年4月にISO 13482の整合JISであるJIS B 8445とロボットタイプ毎の個別要求事項であるJIS B 8446-1(マニピュレータを備えない静的安定移動作業型ロボット)、JIS B 8446-2(低出力装着型身体アシストロボット)、JIS B 8446-3(倒立振子制御式搭乗型ロボット)が発行された。NEDOプロジェクトでは、製品認証機関も参画し、生活支援ロボットの認証方法の開発にも取り組んだ。認証の評価には、ロボット実機の評価試験だけではなく、リスクアセスメントの精査、製造工場の調査、取扱説明書やユーザの教育内容の確認なども含まれる。現在、複数のロボット製造者がISO 13482やJIS B 8446-1の認証を取得している。
 ロボットの取扱いを知らない第三者がいる公共エリアにおいて、ロボットを自律移動で動作させることは危険を伴う。ロボット製造者は、安全規格の要求事項を満たすように、ロボットを設計・評価・運用することが望ましい。さらに安全規格への適合性を認証機関に評価してもらい、認証マークを取得できれば、ロボットの販売促進につながり、PL訴訟対策にもなり得る。

■ ロボット安全認証プラットフォームを目指した「Libra」の開発
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、案内サービスロボット事業への参入を考える中小企業が増えるだろう。そのため、東京都立産業技術研究センター(都産技研)では、プロトタイプのロボットを用いて、移動知能や多国語対応を含む会話知能に関する技術を習得し、案内サービスロボットの製品化・事業化支援に備えている。一方、ロボットの販売促進には、安全性の立証が重要であると前述したが、安全認証の取得には多大な労力と費用を要する。現在、都産技研では、中小企業が限られたリソースの中でサービスロボットの安全認証を取得できる支援方法を構築している。具体的には、JIS B 8446-1に適合した案内サービスロボット「Libra」を都産技研が先行開発し、製品認証機関から評価を得る。Libraをベースとした案内サービスロボットの製品化を希望する企業には、都産技研からLibraのノウハウを移管する。ノウハウとは、ロボットのリスクアセスメント、試験方法、製造方法などである。移管された企業は、コンセプト、設計、部品の大部分がLibraと共通のロボットを製品化し、認証取得を目指す。製品認証機関による評価がLibraとの相違部分のみに限定されれば、中小企業による認証取得時の負担が軽減できる。Libraとの相違部分をどのように判断し、追加の評価に反映させるかについては、製品認証機関との協議が必要であり、今後の課題となっている。
Libraを機能安全規格への適合が不要な本質安全ベースのロボットとし、安全認証取得を支援するためのプラットフォームと位置付けて、開発に着手した。公共エリアで稼働する自律移動型ロボットとして、リスクアセスメントを行い、安全コンセプトを策定した。図1は、Libraの一次試作機であり、現在、この評価に取り組んでいる。