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定例会講演概要

エレベーターの話

長瀬 博

(株)古賀総研

2016915日講演

 

身近な乗り物として、皆が利用するエレベーターの技術について紹介した。

<高速エレベーターの世界ランキング>

マスコミの話題になり易い最高速度の世界ランキングを比較した。最高速度は技術力を示す指標として、1000m/分を越える速度で日本の大手メーカーがトップ争いを演じている。500m位の高さのビルに適用されているが、この程度の高さでは、最高速度を維持する時間は短く、まさに最高速を競うための速度になっている。耳ツン対策の為、上昇時のみ高速であり、下降時の速度は半分である。一方、米国大手は600m/分までである。建物上層部にロビーフロアを設けるスカイロビーを構築し、その階まで専用のダブルデッキエレでシャトル輸送をする。高層ビルで、エレベーターの占有面積を減らす工夫をしている。

<機械室レスエレベーター>

これまで、屋上機械室を無くすため油圧方式を採用していた。しかし、油圧方式は、効率や乗り心地が悪い。建築基準法の改定により、昇降路内に駆動設備を設ける機械室レス方式が可能になった。機器の小型化が必須であり、PMSM(永久磁石同期モーター)やIGBTインバータがこれを可能にしている。機械室レスエレは、建物への制約が少なくなるので一気に進行し、中小ビル、マンション、さらに、歩道橋、駅舎などでは機械室レスエレが主流になった。巻き上げ装置の設置は、昇降路の壁面上方、下方、カゴ下の配置がある。

<エレベーターの安全装置>

ガバナ、非常止め、バッファにより万一のロープ切れに対応、制御異常で停止をしない場合のための端階リミットスイッチがある。これらは、異常時にしか必要としない。日常的な安全は巻上機のブレーキで確保している。新設エレベーターでは、ブレーキの二重化とその動作を監視する独立した監視装置の設置が義務化されている。これらの安全装置は、最近のオープンタイプのエレベーターで見ることができる。

<エレベーターの豆知識>

エベレーターの乗りかごと釣り合い錘は定員半分でバランスさせ、駆動モーターの容量を低減させている。このため、乗車人員と上下降運転の関係から、モーターは正転、逆転、電動、回生の4象限運転モードを全てとる。機械室レスが適用される低速エレベーターでは回生エネルギーを抵抗で消費させるが、高速エレベーターでは回生コンバータの利用により電源回生させる。

車いす用呼びは、車いす用のエレベーターにしか対応しないため、車いす以外の利用者がこれを押すと待ち時間がかえって増える。

ユニバーサル社会に向けて、車いす利用者の乗降がしやすいようにのりかごの工夫をしている。また、乗り場と乗りかごの間の隙間(シル間ギャップ)の縮減が進み、1cm程度になっている。