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定例会講演概要

ダークマター
~見える宇宙から見えない宇宙へ

萩原勝夫
                  IEEJプロフェショナル
                  日本科学未来館チーフボランティア
                  飯能市市民活動センター
2016年6月21日講演


 本講演は筆者が日本科学未来館で今まで9年間サイエンス・ミニトークや展示解説の活動の中で特に興味を覚えた一つにダークマターがあり、このダークマターのキーワードで括れるものをまとめたものである。
1. 導入:宇宙誕生の謎の解明につながるダークマターとはどんなものか、またどのようにして獲えようとしているかについて述べる。どんな手段を使っても未だにその姿を見ることが出来ないダークマター。このダークマターこそが現代の物理学に立ちはだかる大きな謎の一つである。 そしてこのダークマターを調べようとする実験や研究がいろんな方法で行われている。
2. SUMIRE計画:SUMIRE」計画では、「すばる望遠鏡」に画素数9億ピクセル、重さ3トンを超える世界最高性能・超広視野カメラであるハイパーシュプリームカム(HSC)を新たに取り付けて観測する。ダークマターがどのように分布しているか,宇宙に広がる銀河の三次元地図から導き出そうとしている。その観測成果に期待したい。
3. XMASS実験;地下深く1000mの所に約800トンの大きな水槽の中に、液体キセノンが入った検出器がある。ダークマターが、このキセノンの原子核にぶつかると、原子核が跳ね飛ばされて光を出す。その光をつかまえて、ダークマターを調べる。1年間じっと待ち続けて、2、3回当たってくれたら万々歳。そんな気の長い実験である。
4. LHC:ダークマターを地上で作ってしまおうという実験も行われている。スイスにある全周は約27kmもある巨大なもので、世界最大の加速器LHC(Large Hadron Collider)である。山手線の全長が34.5kmであるからほぼそれと同じくらいの規模である。ダークマターが実験室で作れるかもしれない。
5. ニュートラリーノ:ダークマターの最有力候補とされている「ニュートラリーノ」は、超対称性粒子の3種の集まりで「フォティーノ」、 「ジーノ」及び「ヒグシーノ」である。ニュートラリーノも大変重い素粒子だと考えられ、質量は陽子の1000倍ともいわれている。
6. 結び: 宇宙・天文というマクロのスケールでの分野ではじまったダークマター探し、現在では素粒子物理学というミクロのスケールでの分野で探している。この分野を超えた素粒子の研究によって、宇宙を構成する物質や、私たちの住む星・銀河がどのように誕生したかについて、新たな発見があるかもしれない。