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2014セミナー講演会講演要旨

ACドライブの進歩と新しい電動機適用技術
  ―電気鉄道、鉄鋼などへの適用効果
 

 
 
                 IEEJプロフェッショナル  羽片日出夫

 電動機(モータ)は動力(パワー)を必要とするあらゆる用途に使われて来ました。電気動力を機械動力に簡単に変え、それを容易に制御出来ることにおいては、他の追従を許さないものと言えます。回転数を変える必要のある用途には、直流電動機、一定速で運転する用途には、誘導電動機(かご形、巻線形)、同期電動機が使われて来ました。しかし、直流電動機は整流子(コミュテータ)を有し、それを良好な状態で維持するために、多大な手数と練達な技能を必要としました。

これを解決するため、交流電動機の回転数制御の試みがなされ、1975年頃より、様々な方式が実用化されて来ました。

そして、最近では、交流電動機の回転数制御、ACドライブ技術は、目覚ましい進化を遂げ、当初の目的の省メンテナンスだけでなく、直流電動機では実現できなかった高性能制御、高速ドライブ、電動機のコンパクト化と出力アップなど、新しいコンセプトの電動機適用が可能になりました。

VVVFによる交流電動機可変速装置と最新の制御技術の鉄鋼、電鉄などへの適用効果について考えてみました。

鉄鋼圧延機への適用

 製鉄所には小容量から大容量までの多数の電動機があり、使い方、制御方法も多岐に渡っております。その中で圧延プラントには電動機制御技術の粋を集めた主機、補機ドライブがあります。特に、自動車用などの薄板を複数の圧延スタンドで圧延するタンデムコールドミルの大容量で比較的高速回転の主機駆動には、優れた速度制御性能が要求されます。ベクトル制御インバータによるかご形誘導電動機駆動により

 (1) 必要な回転数が得られ、広い界磁弱めレンジ、優れたトルク特性が実現。

 (2) 1モータで製作可能で、駆動軸の1次ねじり振動周波数を高くできるので、直流電動機では得られなかった60rad/sec(ωc)の高速速度制御応答が実現でき、板厚精度が大幅に改善。

という画期的な効果が得られました。

 電気鉄道への適用

 電車には抵抗制御直流直巻電動機が使われて来ましたが、現在ではVVVFによる交流電動機駆動が適用されるようになりました。その大きなメリットを以下に示します。

 (1)省保守―直流電動機のコミュテータと抵抗制御器のメンテナンスからの解放。

 (2)大幅な消費電力の削減―回生制動による回生電力が消費電力削減に大きく寄与。
  ベクトル制御により、回生制動の速度範囲が拡大することにより、さらに削減。

 (3)連続加減速による粘着力の改善/空転・滑走の防止― 連続加速、ベクトル制御
  による
トルク変化の検知により、空転、滑走を防止。

 (4) 交流電動機の高速化、小型化による出力アップと駆動系の簡素化―交流電動機は
  高速回転が
可能であるので、出力を大きくでき、コンパクト化により駆動装置の
  簡易化が出来る。

 (5) 全閉電動機が可能―全閉交流電動機の採用により低騒音化。

 

 さらに、次に述べる適用も考えられます。

    ブロワなどの風水力機械の回転数制御により消費電力の大幅低減。

    超高速ポンプ、コンプレッサのギャレスドライブ

 高頻度始動の改善

 PWM変換器による電源力率の改善