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連携セミナー講演

直流電気鉄道における省エネ技術の動向

斎藤 勉 (株式会社 カナデン)

 

1 はじめに

直流電気鉄道における省エネ技術について,地上設備と電気車制御方式の両方から技術動向を概説する.

1に変電所と電車線路からなる地上設備と電気車のシステム構成例を示す.下り線にある回生ブレーキ中の電気車が発生する電力は,変電所AおよびBのき電母線を介して上り回線を走行中の力行電気車へ供給している.このため,電車線の抵抗による損失や回生中電気車の電圧上昇による回生失効が発生しやすくなっている.このため,変電所では回生電力吸収装置により回生失効対策と省エネ化を進めている.

電気車についてはここ20年でパワーエレクトロ技術の進展により力行時の損失軽減や回生ブレーキ時の効率向上が著しく,省エネのために鉄道事業者は回生車両の導入を進めており,100%を達成した事業者もある.

 

2 直流電気車の制御方式

 電気車の制御方式としては図2のような抵抗制御方式からパワーエレクトロ技術の導入で図3のようなVVVFインバータ制御方式が広く採用されてきた.これにより,東京メトロの例で,抵抗制御方式に比べインバータ制御方式では電力消費率が40%となり,大幅な省エネ化が図れている.

回生車両の導入状況で,JR東日本の東京圏では1990(平成2)57%であったが,2010(平成22)には100%となっている.関東大手民鉄では,早くに導入した事業者では1991(平成3)には100%を達成しており,2010(平成22)には9社中で5社が90%を超えている.所有車両数が多く導入率としては少ない事業者でも68%となっている.

3 回生電力吸収装置

 回生電力を力行している電気車で消費する方法は,力行電気車が近くに存在しないときには回生が失効してしまう.これに対する対策として回生電力吸収装置がある.

 吸収装置には回生電力を交流にして電源へ戻すインバータ方式と電池等により貯蔵する方式が使われている.

(1) 交流にして電源に戻す方式

 電源に戻す方式としては,専用のインバータによる方法,サイリスタ整流器によりよる方法およびPWM整流器による方法がある.この中でインバータ方式がもっとも多く約100箇所で,ほかの方式は1020箇所である.

(2) 各種電力貯蔵装置

 電力貯蔵装置としてはリチウムイオン電池,ニッケル水素電池方式があるほか,フライホィール方式や電気二重層キャパシタ(EDLC)方式も報告されている.図4にリチウムイオン電池方式の主回路図を示す.